借金からの復活~蹴っ飛ばせ、多重債務!~

多額の借金から立ち直ったサラリーマンの記録です。同じ悩みを抱える人の参考になればと思います。

アディーレ法律事務所の業務停止事件に思う…

債務整理を請け負う弁護士事務所としては最大手と言って良い、アディーレ法律事務所。

 

この弁護士事務所が、昨年、2017年10月11日付けで、東京弁護士会から2カ月間の業務停止命令を受けたことは、債務整理に関係する多くの人間に衝撃を与えました。

 

現在、アディーレ法律事務所は、2カ月間の業務停止期間を終え、元通り業務を再開しているようですが、改めて当時のことを振り返り、今後の債務整理の参考にしたいと思います。

 

 

そもそもなぜ業務停止になったのか? 

アディーレ法律事務所は、過払い金返還請求の着手金を、期間限定で無料にするというキャンペーンを行っていましたが、これが実際は期間限定ではなく、何度も何度も繰り返し、最終的に約5年間同種のキャンペーンを続けていました。

 

これが、景品表示法にいう「有利誤認」にあたるとされ、消費者庁から措置命令を受けるに至ったのです。

 

【ご参考】消費者庁のプレスリリース 

 

このことが、弁護士の信用失墜行為に当たるとして、東京弁護士会から2カ月間の業務停止命令を受けたのです。

 

弁護士が業務停止処分を受けるとどうなるかは、日弁連(日本弁護士連合会)の定める「弁護士法人の業務停止期間中における業務規制等について弁護士会及び日本弁護士連合会のとるべき措置に関する基準」にあるのですが、

  • 原則としてすべての案件を辞任
  • すべての業務を停止

など、かなり厳しい措置がとられることとなります。

 

この措置を受け、アディーレ法律事務所は、ホームページを完全に閉鎖するとともに、すべての案件について辞任すべく、債権者宛てに辞任通知を送付しました。。

 

アディーレ業務停止の大混乱…

この結果、債務者たちには何が起こったか。

 

現在アディーレ法律事務所に債務整理を依頼していた人たちは、一斉に依頼弁護士に辞任されてしまうことになります。

 

そして、このことは債務者にとっては、このブログで私がたとえている「債権者からの攻撃から身を守るバリア」である「受任通知」を突然失ってしまうことになるのです。

 

債務者が不安にさいなまれたことは、容易に想像ができることでしょう。

 

加えて、アディーレ法律事務所は、弁護士費用の毎月の積立のほか、和解済み案件などに係る支払の代行なども行っていたため、これらのお金がどのように取り扱われるのかについても、債務者にとっては重大な心配事です。

 

業務停止措置の発効後、アディーレ法律事務所には問合せが殺到しました。しかし、報道等によると、アディーレ法律事務所への依頼者は、数万人とも数十万人とも言われるほどの数がいました。

 

当然、これらの依頼者が一斉に問合せを行うわけですから、電話回線のパンクは容易に想像がつくことでしょう。

 

加えて、この混乱の影響は、債権者側にも及びます。これまで代行で支払ってくれていた債務者からの返済はどうなるのか、係争中の案件はどうなるのか…。

 

アディーレ法律事務所が業務停止だった2017年10月11日から12月10日は、債務整理に携わる者たちが、もっとも混乱した2カ月だったことでしょう。

 

混乱の収束…

頼りにしていたアディーレ法律事務所に辞任されてしまった債務者たちは、新たな「バリア」を得るために、別の弁護士に依頼し直さざるを得ない状況に陥りました。

 

アディーレ法律事務所からは、郵便で「別の弁護士に依頼する」「アディーレ法律事務所所属の弁護士と個人契約する」という選択肢が示されました。また、弁護士費用や積立金など、アディーレにプールされていた依頼者のお金は、順次返金する手続きがとられたようです。

 

既に解決済みの案件に係る支払代行については、今後アディーレを介さず本人が直接支払う形で調整がなされた事案がほとんどの様子。これについては、手間もあったことでしょうが、見方を変えると「アディーレに手数料を払わなくて済むようになり、かえって良かった」といったような反応も一部には見られました。

 

また、東京弁護士会は、本件に関する臨時の相談窓口を置くほか、各地の債務整理を得意とする弁護士事務所がこれらの案件を請け負うなどして、少しずつ混乱は収まっていったような感じでした。

 

一方の債権者側も、ネット等で情報収集する限りにおいては、アディーレ法律事務所の辞任通知を受けて、ただちに債務者に対して直接の債権回収の動きを起こしたような話はありませんでした。

 

この背景には、債権者側も突然のことで当惑している上、本件が社会問題化している中、強硬的な債権回収のアクションを行うことには批判的な向きもあるであろうと想像できるところです。

 

考察1…東京弁護士会の動きは誰のためだったのか

今回の2カ月間の業務停止は、大きな混乱を招きましたが、(個々にはややこしい事案になっているものもあるかもしれませんが)最終的には収束し、今はアディーレ法律事務所も、何事もなかったかのように、いつもどおりの営業をしています。

 

私は幸い、一連のトラブルには巻き込まれていないのですが、「もし自分がこの立場だったら…」と思うと、いろいろと思うところがあります。

 

まず、東京弁護士会の業務停止処分です。報道等によると、アディーレ法律事務所のスタイル、スタンスが気にくわないと感じる向きが弁護士会等にあったという話が漏れ聞こえてきます。

 

確かに、弁護士の仕事をビジネスライクに、ある種「軽く」展開しているところについて、違和感があるのは事実なのかもしれません。

 

ただ、たとえ違和感があるスタイルだったとしても、その事務所にも、債務を抱えて困っている依頼者が、たくさん集まっています。そのような事務所に、突然「業務停止」なんてことをしたら、そこに集まる依頼者がどうなるか、なんてことに想像は及ばなかったのでしょうか。

 

「アディーレにお灸を据えたい」その一心で業務停止処分を下し、依頼者のこと、債務者のことを全く考えていないような弁護士会ではないと信じているのですが、実際、この一連の混乱の中で、個々の債務者は、東京弁護士会のことをどう思っていたのか…その点は、改めて振り返らないといけないのではないかな、と思っています。

 

考察2…アディーレ法律事務所の姿勢はどう評価されていたのか

一方、アディーレ法律事務所はどうでしょうか。法を守る立場でありながら、利益追求の姿勢を徹底し、ついには法律違反までも犯してしまっていました。また、ホームページやテレビなどで、親しみやすい法律事務所をPRしている一方で、実際の債務整理の手法については、事務員さんを中心に、大手事務所でありがちなマニュアル的な対応になっている点などについては、さまざまな意見があります。

 

アディーレ法律事務所の債務整理における向き合い方が正しいかそうではないかは、簡単には意見ができませんが、少なくとも、賛否両論があったのは事実であったのだろうと思います。そのうち、東京弁護士会は「否」と整理できそうな要素にかねてから批判的な目で見ており、そうした中で起こった、先の景品表示法違反が、いわば「トリガー」になって、今回の事態を招いた…。

 

外部の一債務者の目線であり、この見え方が正しいかどうかは分かりませんが、少なくともちまたの情報を整理すると、そんな感じのまとめになるのではないでしょうか。

 

まとめ…一連の動きに「債務者目線」はあったのか

いずれにせよ、今回の件は、さまざまな立場の人が、「本当の意味で債務者の目線に立つ」という意識をなくしてしまっていたのかな…という感じがしており、その点が残念でなりません。

 

今回の2カ月の混乱が、これら両者に限らず、債務整理に携わる多くの関係者が改めて「債務者の目線に立った、誠意ある活動をしなければ」と思いを新たにしていただくきっかけになればいいな、と思います。