借金からの復活~蹴っ飛ばせ、多重債務!~

多額の借金から立ち直ったサラリーマンの記録です。同じ悩みを抱える人の参考になればと思います。

年収1/3以上を借りられる銀行カードローン…その問題点を全国銀行協会が分析した件

少し、借金関係のニュースなども紹介してみたいと思います。

 

全国銀行協会が昨年(2017年)の11~12月ごろに、銀行カードローンに関する意識調査を行い、その結果をプレスリリースしていました。

 

ちなみに、全国銀行協会とは、日本国内の銀行などが加盟する一般社団法人で、まあ、要するに、銀行関係の業界団体ですね。

 

調査結果は、全国銀行協会のホームページに資料が掲載されていますので、1次ソースに当たりたい方は、まずはこちらをご参照ください。

 

https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/news/news300118.pdf

 

資料のページ数は60ページ。なかなか、気合いが入っていますね。ただ、これを全部読み込むのもなかなか大変ですので、この調査結果のポイントについて、私なりにいくつかピックアップし、かつてのカードローン利用者、そして債務整理経験者としての考えを述べてみたいと思います。

 

なお、以下の記述は、資料についての解説・論評ですので、上記資料を別ウィンドウで開きながらご覧いただくと分かりやすいかと思います。

 

  

銀行カードローンへの信頼感

「借入種類別の利用意向」結果によると、銀行カードローンについては、借入意向(積極的に利用したい+借入先のひとつとして考える)が20.7%。以下、クレジットカード会社は14.5%、消費者金融は5.6%、ヤミ金が1.4%と続きます。

 

この順番って、要は借り手側の心理的な抵抗感が低い順になっているように思います。

 

銀行のカードローンって、最近は口座開設とセットでついてきたりする事例もあるなど、かなり気軽に使えるような環境が整備されていますからね。思えば、私が中学生の頃から口座を持っていたメインバンクにおいても、いつの間にかカードローン枠がセットされていました。

 

で、次のクレジットカードも、比較的借入の抵抗が少ない方なのではないかと思います。このご時世、クレジットカード自体はほとんどの人が所有しているかと思いますが、そのクレジットカードも、やはり普通にキャッシング枠がセットされていて、ATMなり会員Webサイトなりから簡単に使えるようになっています。

 

要は、ここまでが「日常生活で当然のように使っているものに付随する借金」なわけですね。

 

ところが、ここから先は違います。

 

この次に出てくる、消費者金融というのは、日常生活においてなかなか登場する機会が少ないもの。なので、そこと積極的な接点を持とうとするということは、言うなれば「能動的な借金」になるわけなのです。銀行カードローンやクレジットカードのキャッシングは日常生活のお金のやりくりの中で、自然に出てくるものですが、消費者金融はそうではない。

 

だからこそ、テレビCMをガンガン打って、少しでも多くの人の日常に近づこうとしているのだろうと思うのですが、現状、多くの人の意識の中では、「ここからが借金」というふうに認識されているのではないかと思います。(いや、銀行もクレジットカードも借金ですけどね)

 

なお、最後の「ヤミ金」というのが、一応調査対象になっている点も興味深いところです。普通の人は「何もそこまでしてお金を借りなくても…」と思いますが、自転車操業を成り立たせるために、ここに手を出さざるを得ない人が一定程度いる、というのも事実なのであり、そこから目をそらしてはいけないのでしょうね。

 

言うまでもありませんが、ヤミ金に手を出すと、後からとんでもない目が待っています。だからこそ、早めに債務整理の決断を下さないといけない、というのが、このブログの一貫した主張でもあるのです。

 

銀行カードローンは完済が難しい?

「借入利用経験および残高保有状況」の調査結果によると、借入経験者のうち、現在借入残高がある人、すなわち「借金を返済中の人」の割合は次のようになっています。

  • 銀行カードローン:43.8%
  • クレジットカード:33.3%
  • 消費者金融:29.6%
  • ヤミ金:44.4%

ヤミ金は特殊なので除外して考えると、適法な借金であるこの3つは、先ほどの「借り手側の心理的抵抗が低い順」と同じ順番で「借金を返済中の人」の割合が高い…そういうことになります。

 

その理由はいくつか考えられますが、

  1. 銀行カードローンは残高が高額になりがちで、返済がなかなか終わらない(ましてや、銀行カードローンの中には、月々の返済額が異様に低額で、毎月ほぼ利子しか払ってないようなものもありますし)
     
  2. 心理的な抵抗が弱い借金は、限度額が残っていると、ついつい借りてしまう 

  3. 心理的な抵抗が強い借金は、逆にさすがにできるだけ早期に返済してしまおうという意思が働き、また新たな借金にも抵抗が生じやすい

あたりではないかな、と思います。

 

改めて自分の銀行カードローンを振り返ってみると、まさに「月々の返済額が異様に低額」なもの、随分とたくさんあったように思います。銀行の立場にたってみると、少しでも融資残高を多額にして、利子で稼ごうということなのだろうと思いますが…。

 

突出した銀行カードローンの残高 

「借入の利用状況」という資料を見てみます。ここは、大きくは「借入先別の借入残高の状況」を表しています。

 

ここを見ると、まず貸付残高「50万円以下」の割合が銀行カードローン、貸金業(一連の流れでいうと、「クレジットカードのキャッシング+消費者金融」とみて良いでしょう)ともにもっとも多いことがうかがえます。個人の状況にもよりますが、このくらいの金額であれば、正直、債務整理の弁護士報酬と大差がない場合もありますので、「頑張って返す」という選択肢もありえるところかもしれません。

 

一方、銀行カードローンを利用していると、債務残高が200万円を超えてくる人が23.7%、すなわち1/4弱もいることは注意しなければならず、とりわけ、借金が501万円を超える人が5.9%いるということは、「割合としては少ないので良かったね」では済まないと考えられます。

 

というのも、貸金業法のいわゆる「総量規制」においては、一応、「無理のない債務残高の上限」といった考え方の中で、「年収の1/3」という線が引かれているわけなのですが、その考え方にたつと、借金500万円を無理なく返せる年収は1,500万円…というふうに計算できるわけです。でも、そんな人はそうそういないですよね。

 

逆に、(個人的にはあまりいないと思いますし、現にこの調査でもサンプル数が少ないですが)貸金業のみの利用者の場合、借金残高が200万円以下のところに94.2%…要はほとんどが集まってきており、総量規制のおかげで残高が膨れ上がらないようになっていることがわかります。

 

この流れで登場する資料「借入総額の年収比率」を見てみると、銀行カードローンの利用者は、30.2%…約3割の人が、年収1/3を超える借入をしてしまっているのです。そう、仮に貸し手が消費者金融などであれば借りられなかったはずの、多額の借入を。

 

銀行カードローンが総量規制の対象外になっている背景には、ざっくり言うと「銀行さんは節度ある融資をする」「無理な融資はしない」というような考え方があるように感じます。

 

ただ、そうは言いながらも、銀行カードローンは、その審査を子会社化した消費者金融に委託してますし、また貸付の保証会社にもなっているのが実情です。うがった見方をすれば、これはもう、事実上、消費者金融に銀行の看板を貸しているだけ、というような解釈も、ないわけではないのです。

 

現に、大手カードローンだと、

  • 三菱東京UFJ銀行(今後三菱UFJ銀行になりますね)→アコム
  • 三井住友銀行→SMBCコンシューマーファイナンス(要はプロミス)
  • みずほ銀行→オリコ

といった感じで融資審査・保証が行われていますし、他の銀行でも、これらの消費者金融・クレジット会社のほか、JCBやオリックス・クレジットなどが、融資にかかわるかなりの部分を占めてきているのです。

 

一方、再度、借りる側のことを考えてみると、こちらは「銀行の安心感(心理的抵抗感の少なさ)」に基づいて銀行カードローンを申し込み、その安心感の中で融資残高を増やしています。

 

このことは、資料の後半、「銀行カードローンを利用した理由」のところで、「銀行だから安心と感じたため」(39.3%)、「消費者金融等に比べ借入金利が低いと感じたため」(22.1%)と、消費者金融と比較したときの優位性に着目した理由が大きいことからも明らかです。

 

そして、その安心感に油断して、気がつけば年収を大幅に超えた債務を背負ってしまう、というところに行き着いてしまうわけなのです。そして、その貸付を成り立たせているのは、借り手が心理的抵抗を感じているはずの消費者金融…。

 

見方を変えると、「融資残高を増やしにくい消費者金融は、銀行と提携することで市場を失わずにすみつつ、銀行は既に抱えた既存顧客の口座と連携する中で新たなビジネスを確立し、借り手は安心して高額の融資を受けられる」というふうにポジティブにとらえることもできるのですが、どうしても人間には弱さがあり、「借りられる」状況にあると、ついうっかり借りすぎてしまい、気がつけば多重債務者・高額債務者を生み出してしまう面もあり、現在、後者が社会問題になりつつある…。

 

銀行カードローンの残高が過剰になる問題を議論していくと、課題意識はこの点に収斂されてくるのではないでしょうか。

 

ちなみに、私個人の実例を振り返ってみると、まずは銀行カードローンの残高が高額になり、その後に、試しに消費者金融を申し込んでみたら、普通に年収の1/3まで限度額がついたカードが発行されるに至りました。

 

つまり、貸金業者の方は、銀行の貸し付けが多額になっていたことは考慮せず、「総量規制の範囲内の借入残高はどれくらいか」という視点で審査をしていたのかな…なんてことを、今となっては思ったりもしています。結果として「銀行カードローンと貸金業者の貸付がそれぞれ筒一杯まで埋まってしまい、性質の違う限界を超えた負債を、ダブルで抱えてしまった」というような構図になっていたように思います。

 

ちなみに、先ほどの「銀行カードローンを借りた理由」のところで、「年収の1/3以上の借入ができること」を最も重視した、という人は、わずか3.4%でした。従って、ここからは「年収1/3を超える借入には、実はあまりニーズがないのでは…」という仮説を立てることもできます。(ただし、「あまりない」のであって、「全くない」のではないことには注意しないといけません)

 

なお、多額の融資がセーフティネットになりうる事例である「おまとめローン」については、銀行でも貸金業者でも総量規制の対象外としての借入をすることができます。ただし、私が過去に書いたように、これが本当にセーフティネットになるかどうかについては、個人的には疑わしく思っています…。

 

極度額(限度額)の増額提案…

細かい論点かもしれませんが、「銀行による借入極度増額の提案有無と増額意向」という資料も興味深いところでした。

 

銀行カードローンを使っていると、たまに銀行から「増額しませんか?」という提案の電話があったり、あるいはATMを使っていると増額をにおわせる表示が出たり、メールで案内が来たりすることがあります。スラングで「隠微」と言われたりもしていますね。

 

これ、資料によると、実に約半分(49.5%)が増額提案を受けたということになっています。ちなみに私も、増額提案の電話があり、極度額が200万円から、まさかの300万円にまで増えました。「電話1本でこんなことになんのか…」と驚いた記憶があります。

 

さて、この増額提案について、利用者はどう思っているのかというのも調査結果で明らかになっていますが、それによると「増額の意向あり」が42.7%。逆に言うと、「意向なし」は57.3%、つまり半分以上が「増額は不要」と考えているということになります。

 

この資料の作り方を見ると、「だから増額提案にはニーズがない」みたいなまとめ方をしようとしている印象がありますが、かといって4割のニーズがある点を見落としてはいけません。もしここで安直に「だから安易な増額は控えましょう」みたいな規制のかけ方をすると、ニーズのある人がヤミ金に流れるリスクを発生させてしまいます。

 

とはいえ、だからといっておまとめローンがいいと言っているわけではないのも、前述のとおりです。ここではあくまで、「安直な結論出しはやめましょうね」という主張ですので、念のため。

 

この分析、合ってる?返済困難時の対応

借入金の返済に関する調査結果も出ていました。

 

まず、「借入金の返済状況・延滞経験の有無」についてですが、この手の借入をしている人は、ちょこちょこ返済を延滞しているのでは…という先入観がありそうなところ、実際は「毎月返済することができている」と答えている人が実に8割を超えています。

 

この背景にあるものについては、以前私も書いたことがあるのですが、「新たな借入に備えて信用情報を傷つけないようにする」というのがあるほか、「万一延滞すると、給与の差し押さえなどが発生して日常生活に大ダメージを受けるので、それを避けるため」などがあるかな、という印象を持っています。

 

ただし、ここではあくまで「借入金の返済」のみに特化している点については留意が必要です。

 

たとえば、税金の支払いはどうなのか。本来であれば、滞納時の処分という意味においては、自力執行権(簡単に言うと、裁判なしで強制執行ができる権利)を有する税の方が強力なのですが、強制執行に動くまでのタイム感は、税金よりも借入金の方が早いという感覚があるので、「借入金を優先し、税金はある程度までは後回し」という判断に至っている人もいるのではないかと推測しています。

 

もっともこれは、私の推測に過ぎないので、今後、借入金以外も含めた債務者の財務状況が分かると、議論が深まるでしょう。

 

あと、この関係でもう1点、深い議論が必要かなと思うのが、「延滞や返済困難時の対応」。資料には、次のように書かれています。

「延滞や返済困難時の対応は、「毎月の収入から返済した」(57.2%)、「ボーナス・賞与から返済した」(24.7%)が高く、収入の中から返済を行った人が多い。そのほか、「預貯金などの自分の財産を取り崩して返済した」や「クレジットカードのキャッシングを行って返済した」などの対応は、それぞれ1割程度に留まる。

たとえば、なのですが、返済日が20日で、給料が25日の人の場合。ここで20日の返済のお金が足らず、延滞してしまったとしたら、おそらくこの人は、25日に給料が出たら、そのお金で延滞を解消しにいくでしょう。つまり「毎月の収入から返済した」ですね。

 

ただ、ここで毎月の収入を多めに使ってしまうことになって、たとえば翌月15日くらいに生活が苦しくなってきて、ここでクレジットカードのキャッシングを使ったとしたら…???

 

要は、「玉突き」が起こっている状態ですね。このあたり、アンケートに答えた人がどういうスケジュール感を意識しながら答えたのか、もう少し掘り下げて考えたいところです。

 

というのも、これも根拠のない、自分の経験に基づく推測に過ぎないのですが、借金の返済を延滞するような資金繰りの状況で、延滞した借金を「毎月の収入から返済した」ってのは、やっぱり、考えにくいんですよね。それができるなら、通常、借金は延滞しないでしょうから…。

 

まとめ

以上、全国銀行協会の公表資料に基づいて、いろいろと考察をしてみました。

 

借金が高額になってしまっている人の多くが、銀行カードローンの負債が多額すぎて収拾がつかない…というパターンに陥っていると考えられます。(私もそうでした)

 

その点について、銀行の業界団体である全国銀行協会が問題意識をもって、このような調査をし、結果を公表したという点は、大変に意義のあったものではないかと考えています。

 

ただ、この問題の中で、特に根深い問題であると私個人が思っている「銀行カードローンといいながら、実態はほぼ消費者金融」という点について、十分に議論がなされていない点は、今後の課題になるのかな、という印象を持っています。

 

銀行の社会的な存在意義、果たすべき役割などを考えると、適切な審査を前提に、総量規制の範囲外の融資が行われること、それ自体は否定されなくても良いと思います。

 

ただ、それは、「銀行の社会的な存在意義、果たすべき役割」があってはじめて成り立つ話なのであって、前述したような「銀行と消費者金融のWin-Winの関係」の中でなされるのは違うと思いますし、そのような社会的使命を持たない、もっぱらビジネス目線でのみ行われる高額融資は、借金で苦しむ人をいたずらに増やすだけになりかねないのではないでしょうか。

 

いずれにせよ、今回の調査を、本当の意味で「消費者のためになる消費者金融」を、銀行が、ひいては社会が考えるきっかけにしていただけると、今後、私たちのように、借金で苦しむ人が減るんじゃないかな…私は、そう思っています。